興信所業界の概要
トップページで述べたように、探偵業界は多数の零細個人業者がひしめいている世界です。
平成25年度の警察庁資料では、その届出数は5,670社にも及びます。
その中には、届出だけして継続的に営業していないペーパーカンパニーやほとんど実務経験のない探偵も含まれます。
そういうものは除外したとしても、装備(複数の車両、業務無線、撮影機材等)が貧弱な会社が多いのは否めません。
ネットでの集客だけ行って、実務は外注し、自分ではしない探偵社もあります。
全国に支店を展開する大手は数社しかありません。
「全国100拠点以上」と謳うところもありますが、それはフランチャイズであって、別々の会社が同じ看板を掲げているだけです。
個人や零細オフィスの興信所にも優れたスキルを持つところはありますが、人脈もない素人が見極めるのは困難です。
探偵業の資格
探偵業には免許や国家資格はありません。
探偵業法の成立(2006年)以降は、営業には公安委員会に届出が必要になりました。
しかし、これは地元の警察庁経由で書類を出すだけで、形式さえ整っていれば審査はありません。
届出だけで開業できるため、開業・廃業が盛んで、事業者数は5,670社にも上っているわけです。
これは素人レベルの探偵が非常にたくさんいることを意味します。
複数の業界団体があり、警察庁が監督官庁である全国調査業協同組合が一番権威があるとされていますが、そこも各社のスキルレベル認証を行ったりはしていません。
経験あるプロの探偵は素人とはまったく違うレベルの技術を持っていますが、それを格付け・認証するシステムはないわけです。
そのため、何を基準に興信所を選べばよいのかは、ユーザーの悩みの種になっています。
興信所の仕事とスキル・装備
興信所の仕事は、浮気調査が7割、家出人などの人探しが2割、その他の調査が1割くらいです。
これは全国どこの興信所でも似たり寄ったりです。(盗聴器発見専門業者などは別)
他の調査のうち、素行調査などかなりのものが、浮気調査と技術が共通です。
つまり、それは尾行と隠し撮り。
特に尾行は探偵技術の中核で、ここに探偵の優劣の差が如実に現れます。
プロ探偵の尾行は単独ではなく、2人以上のチームで行います。
徒歩尾行と車両尾行があり、車両尾行は特に難易度が高く、複数の自社車両と業務無線などの装備も重要になってきます。
興信所の消費者トラブル
興信所は昔からトラブルの多い業界です。
- わざと調査を長引かせて、費用を膨らます。
- 尾行が発覚して調査失敗。パートナーは激怒。
- 浮気の証拠にならないような写真を渡されて、料金を請求された。
- 最初の話と違う、巨額の追加請求をされた。
しかし、品質の低い業者が多い理由は、既に述べたような事情によるもので、興信所全体がそうだと思うのは誤解です。
本物の探偵は、ユーザーの問題解決に全力を尽くして結果を出し、対価の請求も誠実に行うものです。
依頼の前に、興信所とそこの探偵をしっかり見極めることが大切なのです。
探偵業法
興信所の消費者トラブルを減らすため、2006年に探偵業法が制定されました。(2007年施行)
内容は下記のようなことです。
- 探偵業を営む者は公安委員会に届出を行うこと。
- 依頼者には法定の重要事項を書面を交付して説明しないといけない。
- 依頼者からの調査結果を違法なことに使用してはいけない。
- 業務上知り得た秘密を漏らしてはいけない。
- 反社会勢力は探偵業を営むことはできない。
この法律により、興信所との取引は以前より安全になっています。